6月からインストラクター養成講座の中級コースが始まりました。

一日目の授業では、板締め絞りと縫い絞りの基本を学びます。

まずは材料の下地処理から始め、同時に植物を刻んで煮出す作業も行います。

今回使った植物は、土日クラスはユーカリ、月火クラスはピラカンサスです。

こちらはユーカリです。授業の数日前に「剪定するのでいりませんか」と昔フリースタイル講座に通われていた元生徒さんが声をかけてくださって、急遽授業で使わせていただくことにしました。ユーカリはアロマオイルなどにも使われ、刻んでいるだけでも本当にいい香りがしてきて、さらにお鍋で煮出すと染め場中にいい香りが漂いました。「あぁいい匂い~」と言って、何度もお鍋の中の香りを嗅いでいる方もいました(^^)!

 

こちらがピラカンサスです。

ピラカンサスは秋ごろに真っ赤な実がたくさん実るバラ科の植物です。枝から鋭いトゲが生えているので、ときどき「痛っ」となりながら刻みました。

 

染液が出来たら、絞り作業です。

板締め絞りはその名の通り、板で生地を挟んで締めて染めると、板の形の模様が染まる技法です。まずは基本を学ぶということで、全員が麻の大判ストールを四角の板を使って板締め絞りをしました。ずれたり歪まないように注意しながらストールを板で締めたら、それを染液に浸けて染めていきます。

鉄媒染をして板を外すと・・・

きれいに板の形が出ました~!

さらに板の形に白く抜けた部分を染めて完成です。

こちらはユーカリで染めた土日クラスのみなさんの作品です。ユーカリはミョウバン媒染では優しい黄色味のベージュですが、鉄媒染をすると鉄分に強く反応して黒に近い濃い色に染まります。ベースの黒に優しい黄色と白のコントラストがいい感じです!

こちらはピラカンサスで染めた月火クラスのみなさんの作品です。この日のピラカンサスは、ミョウバン媒染でかわいいオレンジ色が染まりました。鉄媒染では茶系です。土日クラスのユーカリとはまた印象が違って、女性らしい印象のストールになりました!

 

板締め絞りの次は縫い絞りです。縫い絞りは糸で線や模様の形に沿って縫い、その縫い目を引き締めて染める技法です。縫い絞りの技法にもいろいろな種類があり、縫い方によって様々な模様が出来ますが、今回は基本の「平縫い巻き上げ絞り」と「平縫い帽子絞り」をメインに練習していただきました。

染める教材はTシャツです。各自どこに絞りを入れるかデザインを考え、下描きをしてから糸で縫っていきます。その後縫った糸を引っ張って引き締め、巻き上げという作業を施します。いくつも絞りを入れた人は、縫う作業がなかなか終わらず大変でした。

絞りができたら染液に浸けて染め、さらにお好みで鉄媒染もします。部分的に鉄媒染をしたり、逆に全体は鉄媒染をして絞りの部分だけ元の色を残したりすることもできます。

では、みなさんの作品を紹介しましょう!まずはユーカリで染めた土日クラスの方の作品から。

こちらは3期生唯一の男性の作品です。「縫うのが苦手だから模様はシンプルに2つだけにします」ということで、胸元には丸い帽子絞り、左の袖口に巻き上げ絞りをされました。絞りの模様、ばっちりきれいに出来ていますね!しっかり鉄媒染されたので、黒に近い濃いグレーになりました。ユーカリの色と模様がきれいに出て、ご本人も満足気でした(^^)!

 

こちらの方は、裾の方に小さめの丸を並べたデザインです。帽子絞りで水玉が並んでいるようにして、一つだけを巻き上げ絞りにしているのがおしゃれですね!小さい模様は絞りの作業もやりにくくて大変なのですが、きれいに模様が出ています。縫い目も細かく均一で、丁寧な作業が作品に表れています!

こちらの方は全体はユーカリのミョウバン媒染の色で残し、絞りを施した部分だけを鉄媒染されました。こんな優しい色合いもいいですね~。絞りを胸元と腰の部分に大胆に入れているのも素敵です!

 

続いてはピラカンサスで染めた月火クラスのみなさんの作品です。

全体を鉄媒染し、良いこげ茶色に染まっています。中央に大きな円の絞り模様、インパクトがあっていいですね!袖口には縄目のような模様に染まる「巻き縫い引き締め絞り」をされました。初めてなのに、とてもきれいに模様が出ていました!

 

こちらの作品は、紋のように一つだけ首の後ろの部分に巻き上げ絞りを入れています。全体は鉄媒染して巻き上げ絞りの部分だけミョウバン媒染のオレンジ色を残したのが、良いポイントになってますね!前後に入っているラインは、「平縫い引き締め絞り」です。細いラインが効いています!

 

こちらの方は、大小さまざまな丸がたくさん!前だけでなく後にも模様を入れられたので、絞り作業はとっても大変でした。でも最後まで頑張った甲斐があって、とてもかわいい作品が出来ましたね!

 

この日は2日分の材料の下地処理から始まり、植物を刻んで染液を作り、板締め絞りと縫い絞りをするという、かなりハードなスケジュールでした。特に縫い絞りの最後の工程では、口数が少なくなる方も…(^^;)本当にお疲れさまでした!

 

ひとつひとつ技法を覚えていく中で「こんなことも出来るんじゃないか」とアイデアが湧いてきたり、家族や友達に染めてほしいと依頼を受けたり、復習を兼ねてさっそく自宅でも制作したり。自宅で制作した作品や作業風景を、クラスでグループLINEをつくってその中で紹介し合ったりもされています。

1・2期生以上に意欲的な方が多く、みなさんのそんな姿ややり取りを見ていて、私たちはとてもうれしく頼もしい気持ちです!

 

松本陽菜