12月の授業は、いよいよ集大成となる修了制作です。

修了制作のテーマは、

「初級コースから上級コースまで学んできた様々な技法や表現方法を組み合わせて、バッグのためのテキスタイルを制作する」

です。

この2種類のバッグのいずれかの形を選び、各自が自由にデザインや用いる技法を決めて制作を進めていきます。

 

まずは各自考えてきたデザイン案を発表してもらいました。

「あれもやりたいけどこれもやりたいしどうしよう・・・」と最初は考えがまとまらない人もいましたが、お一人ずつ相談しながらデザインや技法を決めていきました。

ある程度デザインのイメージが決まったら、まずは生地を染めていきます。無地に染める人もいれば、2~3色に染める人、絞りをする人など、デザインによって様々です。

今回染めに使う植物は、栗とビワになりました。

こちらは栗。ミョウバン媒染だとキャメル色になり、鉄媒染だと濃いグレーから黒に近い濃い色まで染まります。バッグになるということで、鉄媒染で黒っぽい色に染めた方がけっこう多くいました。

こちらはビワです。ビワはこの時期が一番赤味が強くなります。

 

では、みなさんの制作過程を紹介していきます。

こちらはHさん。細いラインの平縫い絞りを施して全体をビワでサーモンピンク色に染めてから、縫い絞りのラインを境目に栗で重ね染めされました。こげ茶色の部分は鉄媒染のぼかし染をしています。3色のトーンが温かみのある色合いですね。

この後、全体に着抜技法で模様を入れていきます。模様が入ると印象がぐっと変わりそうです!

 

こちらはAさん。バッグの表と裏のデザインを変えるそうです。

まだデザインに迷っていらっしゃるようでしたが、この後この生地がどうなっていくのか楽しみです!

 

こちらはNさん。バッグの表と裏で、技法を変えるそうです。片方は縫い絞り、もう片方は板締め絞りで染めた後に着抜技法で模様を入れるとのこと。絞りを施した後、栗の鉄媒染で真っ黒になるまで繰り返し染め重ねていました。

途中思わぬトラブルもありましたが、縫い絞りも板締め絞りも美しい染め上がりになりました!写真を撮り損ねていたので、次回撮らせてもらいます。

 

つづいてはKさん。Kさんの染めは一番大変でした!写真に写っている小さい四角から生地いっぱいの大きさの四角まで、板のサイズを徐々に大きくして何度も板締め絞りの技法で染め重ねていくのです。また板を変えるたびに少しずつ濃く染まるように染液や媒染剤の濃度も調整しなければならないので、私もつきっきりで一緒に染めました。

左が途中で、右が染め上がりです。染めている最中は何回染め重ねていたのか分からないくらい必死でしたが、写真を見てみると8回は板を変えて染め重ねしていますね。無事に染め上がってよかった!この後どんな技法を加えていくかも楽しみです!

 

こちらはMさん。斜めに切り替えを入れて、それぞれの部分の色や模様を変えるそうです。

生地はビワで染められました。ミョウバン媒染の渋みのある赤色(右写真の右端)と、鉄媒染のあずき色のようなこげ茶、両方の色を使われます。鉄媒染した生地には、着抜技法やフェルティングでさっそく模様を入れていらっしゃいました。刺繍も入れるそうです。いろんな技法の模様が入った楽しい作品になりそうです!

 

こちらはWさんです。小さい四角は板締め絞りで、大きいひし形は着抜技法で模様を入れられました。

この後ひし形の模様の中にフェルティングなどでさらに模様を入れていくそうですよ。いつもモダンなデザインをされるWさんなので、この修了制作もどんな作品になるのか楽しみです!

 

こちらはTさん。生地を栗の鉄媒染で黒っぽく染めて、着抜技法で草花の模様を描いていきます。

早くも今月の2日間の授業で表と裏の草花の模様を全部描き終わられました。この後はフェルティングや刺繍で色を入れていくそうです。いつも可愛らしい作品を作るTさん。修了制作もTさんらしいかわいい作品となりそうです!

 

最後はOさん。Oさんは事前に自宅にあるヤマボウシで生地を染めて来られました。ヤマボウシのミョウバン媒染は黄色味がかったベージュ色でした。生地の端には上からビワの色を重ねて、反対側は鉄媒染をされました。染め上がった生地は、みんな「夕焼けの砂漠みたい!」とおっしゃっていましたよ。

その上に骨董市で買ったという古い型紙を使って、着抜技法で模様を入れていきます。夕焼けの砂漠のような色合いの生地と型紙の模様がとてもマッチしていますね。

バッグの反対の面は左の写真のような蜘蛛の巣の模様を入れたいとのこと。どうしたらいいか試行錯誤して、定規に着抜液を付けて放射状の模様を入れていくことにしました。なかなかいい雰囲気の模様が出来ました。バッグのデザインに蜘蛛の巣の模様を入れるなんて、Oさんらしいです!

 

当初は12月いっぱいで完成させる予定でしたが、まだまだ作業半ばの方が多く残りをすべて家で仕上げるのは大変すぎるということで、1月にも授業を行い1月いっぱいで完成させることになりました。

途中の段階でもそれぞれ個性的ですが、この後さらに刺繍やフェルティングをされるので、今年も個性豊かな修了制作となりそうです!

どうぞお楽しみに~♪

 

インストラクター養成講座 講師

松本陽菜