井手町の山に咲く自然の藤

今、山のあちらこちらで藤の花の薄紫が美しい。
藤棚に育てられた藤と違って、花の房は短くて豪華さはないが、様々な木々に絡まって咲いている野生の藤が、緑萌え出ずる五月の山に映えて美しい。
藤に「御免よ」と声を掛けながら、新しく伸びている蔓を葉と共に頂戴する。
エネルギーに満ち満ちた先端である。きっと美しい色を秘めているに違いない。

山の藤を草木染用に少しいただく

採集してきた蔓と葉を細かく花ばさみで刻み、炊き出して染液を作る。

藤を刻んで草木染

炊き出していると、緑の春の香りが匂いたってくる。

今日は、シルクウールの糸と麻生平(あさきびら)、絹、木綿の布を染めるので染液も沢山いるだろう。美しい色が生まれ出てきますように‥。

染まる色は、花と同じ薄紫色だろうと期待と想像をしてしまうが、いつも違っているのです。目が覚めるような奇麗な黄色系が生まれてくるのです。

藤で草木染めする

桜は、桜色が染まるのに、何故藤は花と補色の黄色が生まれ出るのでしょうか。
紫根の花は、白い色なのに紫色が生まれて来るように。
植物によって花に出る色と、布や糸に生まれる色は違うというのは、謎めいていますね。自然の不思議と妙を、今日も感じながら作業を進めました。