宇治茶あるいは和束茶の名で知られるお茶の主産地、和束町の茶畑をせて頂きました。山の頂上まで続く畑は、こんもりと緑の畝が美しい模様を描いていました。
お茶の葉の色を濃くし、味も濃くするように(とご案内頂いたSさんが教えてくれました)寒冷紗が茶にかぶせられていて、山がところどころ黒く見えます。最近は、写真のように寒冷紗を直接茶畑の畝一筋毎にかぶせるらしい。その方が寒冷紗を洗濯ばさみで茶の木にとめるだけで良く、簡便なのでということだった。
茶と茶の間の畝のふかふかした細い道を山の頂上近くにまで上ってゆくと、下に町並みが見えました。
写真:大きくハウスのように組み立てられて、多くの畝を覆っている寒冷紗の下の茶
風がさ~と渡り本当に気持ちがよく、「お昼寝ができますね」と尋ねると、「気持ちいいよ~。でも一人でいると、猿がやってくるからね」「いくら隠してもお弁当をカラスが見つけて、下にころがしてしまうんですよ」と、街中では考えられないお話しをしてくださいました。
刈り取ったお茶の葉が自然と袋の中に入るように、はさみにガードがつけられた本格的なお茶を摘み取るはさみ付きの布袋を持参していただいて、お茶を刈る体験をさせていただきました。今は器械で摘み取るので、余り使われていないようなのですが、茶葉がいっぱいになっても、重量が袋にかからないように、なが~い袋になっていて、本当に良く考えられているなと思いました。
草木染用にと刈らせて頂いたものの、なんだか染に使うのは、もったいないくらいの美しい新芽でした。
地元の後継者は少なくなってきているけれど、よその土地から引っ越してきて、世界にネットでお茶を販売する、若い人も現われているんですよというお話しもされていました。
その他お茶にまつわる目から鱗のお話し(「今年の新茶です」といっても、一年茶葉を寝かすほうが味が良くなるため、去年の茶葉で作る)や、茶の木に施す肥料は、各家秘伝で、そのため栽培農家ごとに味が微妙に変わるなど、色々と伺って、美味しい空気をいっぱいに吸い込んで、帰途に着きました。
お忙しい時期に時間を割いてくださったSさん、田植えをされていたご主人様、ありがとうございました。この美しい風景を、優しいお心遣いとともに心に刻んで忘れません。