祇園祭の宵々山の日、見に行ったきっかけは、この本を読んだから。
もし、最も純粋に「伝統的な日本の美」を表現してきた祭を、外国人に紹介するとき、あなたならどれを挙げるだろうか。京都の祇園祭を挙げよう、という意見が出たとして、あえてこれに反対する人はいないだろう。~中略~
しかしー ~中略~
そこには「日本の美」が純粋に満載されているどころか、それとは別のものー異国の美術、工芸ーが、ふんだんに入り混じっていること、しかも、相当の質量で、文字通り綾なされていることに、いまさらのように気づかされるからである。
『京都異国遺産』 鶴岡真弓 編著より
鶴岡先生は大学時代に講義を受けたことのある先生で専門はケルト美術。美術工芸史の面白さをおしえてくれた先生の一人です。
この本の中で懸装品(山鉾に掛かっている装飾品)をゆっくり見るには宵々山の午後にでも参ってみようと書いています。
祇園祭は山鉾巡行をテレビでしか見たことがないし、実物の山鉾や懸装品見たことがなかったので、先生の教え通りに!?宵々山の午後に見に行ってみることにしました。夕方から歩行者天国となり人出は一気に増すそうですが、午後の時間は比較的空いていました。
ここからはしばらく写真でご紹介。
長刀鉾(なぎなたほこ) 必ず巡行の先頭を行く
長刀鉾の胴懸 中国の梅。周りも中国風雷文模様
長刀鉾の懸装品
函谷鉾(かんこほこ)
函谷鉾(かんこほこ)懸装品 インド、中国近辺の絨毯
放下鉾(ほうかほこ)
放下鉾の懸装品 インドやペルシャの絨毯
蟷螂山(とうろうやま) 中国・日本混交主題
菊水鉾(きくすいほこ) 中国・日本混交主題
油天神山(あぶらてんじんやま)
油天神山 西アジア、カザフ族の絨毯?すごく古そうでした
占出山(うらでやま)
占出山の中国風綴織の懸装品
月鉾
月鉾の懸装品
おまけ菊水鉾にて
京都にいてはじめて見た祇園祭山鉾の懸装品の数々は、たしかに異国の織物で飾られていました。。
すごいですね。
最後は再び鶴岡先生に締めを。
祇園祭はたんに祇園社の、京のなかに純粋培養された祭なのではなかった。この都に代表された日本、その「日本と異国」との、関係、接続、そしてそれによって成就する夢を映し出す祭として、存続してきたのである。