今回、下呂支部教室の田中晃子先生より初の下呂支部教室「大人の遠足」の記事を寄稿してもらいました。田中先生は、一昨年の淡路島、昨年の奈良五條と京都本部の大人の遠足に参加され、交流が深まるし、教室とは違う空間というのもいいなと思い、自分の教室でも「大人の遠足」を企画したいと思ったそうです。また、大人の遠足直後の7月下旬には自家畑で紅花を摘んで染める、ののはな草木染研究会(インストラクター養成講座修了生限定)を田中先生の幹事のもと岐阜・下呂で開催しました。(研究会のことは次の機会に紹介したいと思います。)ほかには毎月岐阜市のマルシェに出品、9月~11月はそれぞれ別のマルシェに参加予定と講師、作品づくり、植物染料の畑づくりと八面六臂の活躍をされています。

(松本 拓美)

===ここからは、寄稿された「下呂支部大人の遠足」の記事です===

「大人の遠足」開催しました

皆さん、こんにちは。下呂支部教室講師の田中晃子です。

2018年3月に下呂支部教室が開講して約1年。下呂支部教室の第1回目の大人の遠足を7月11日(木)に開催しました。今回のテーマは「機織り体験と鈴蘭峠散策&濁河(にごりご)温泉でゆったりツアー」です。参加者は下呂支部教室の生徒Oさん、Wさん、私(田中)の3人です。

遠足3

遠足2

1遠足

午前中は岐阜県高山市朝日町で染織作家として活動している不死原江里さんの工房へお邪魔しました。蚕(かいこ)から糸を引き、自ら染めて機織りする不死原さんから、養蚕について、繭について、糸引きについて、織機についてとたくさんの事を教えていただきました。

養蚕について

蚕が4回脱皮をして繭になる過程を、実際の道具や写真を使って説明をうけました。白くてかわいい繭、振ると“カラカラ”音がします。中には乾燥した蚕がはいっています。お話を聞くうちに、絹糸をつくるためだけに一生を終える家畜化された蚕の生態を知り、少し複雑な心境になったのでした。

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ここからは実際の繭~織までの一連の作業を体験しました。

繭を煮る作業

繭に水分を含ませてほぐしやすくします。温度や時間をレクチャーいただきました。繭から白く伸びる絹糸がきれいです。

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座繰器に糸を巻き取る作業

先生のお手本を見た後、座繰器の体験をしました。1個の繭からでる細い絹糸を何本か集めて枠に巻き取ります。真剣な表情のOさん。「癒やされる~」とWさん。

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真綿から糸を紡ぐ作業

糸にならない繭を綿状に薄くのばして真綿とよばれる状態にします。真綿を細く引き伸ばしてヨリをかけて糸状にしたのを「紬」と呼びます。できた紬を「杼(ひ)」と呼ばれる緯糸を通す時に使う道場のミニチュアに巻いてネックレスにしてお土産にいただきました。

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杼のストラップ

機織り作業

お昼からはお待ちかね!機織り体験です。足と手を同時に動かすことに初め戸惑っているようでしたが、コツをつかんでからはスムーズに織っていました。途中、好きな色の糸に変えて、きれいな織り模様が浮かびあがりました。

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30分ほどで、織れたのは約5㎝。着物1反は約20メートル。単純に計算しても1日8時間作業して1ヶ月はかかる計算になりますね。手織りの着物の価値を再確認できました。

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こちらの工房には今では手に入らない貴重な本もあり思わず見入ってしましました。当時の販売価格で3万円以上。実際に染めた生地がリアルに貼ってあることに驚きました。そしてその生地が全く退色していないことにダブルで驚きました!

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まったり温泉で

最後は標高1800mの濁河温泉でゆっくりと。露天風呂は下呂支部メンバーで貸し切りでした。草木染トーク、女子トークに花が咲き思わず長湯に。鈴蘭峠はあいにくの雨で、御嶽山や乗鞍岳を眺めることはできませんでしたが、楽しい遠足になりました。

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遠足を終えて

◎Oさんの感想

本格的な機織り機での機織り体験はもちろん、蚕のお話や繭から糸をとったり、真綿の糸紡ぎまで盛りだくさんな内容でとても楽しかったです。私の育った飛騨では明治・大正の頃、女の子は長野の製糸工場へ働きに出たというのを郷土史として習い、実際、友達の祖母は百円工女だったらしいし、親戚の家では蚕を飼っていたりと身近なことなのに、知らないことばかりでとても興味深く、絹の貴重さを実感した1日でした。

◎Wさんの感想

蚕が繭になるまでのお話をお聞きし、織りに至るまでを体験しました。教室で行う工程の前段階の糸を紡いで生地を織るのはとても手間がかかることですが、不死原先生が要点をわかりやすく教えてくださったので楽しく作業が進みました。体験を通じて広い視点で学習できたように思います。最後に田中先生、遠足の準備から当日の運行ありがとうございました。

(下呂支部教室 草木染教室インストラクター 田中晃子)

ののはな草木染アカデミー下呂支部教室

ののはな草木染アカデミー 下呂支部教室

  • 講師:田中 晃子(草木染インストラクター養成講座3期生 2017年度卒)
  • 住所:〒509-2506 岐阜県下呂市萩原町羽根1604-1
  • 連絡先:090-7304-4574
  • 下呂支部教室ホームページ:https://kyoto-nonohana.jp/branch02/