ののはな草木染アカデミー「草木染インストラクター養成講座」3期生(2017年度)の修了制作作品(バッグに仕立てられる生地のテキスタイルづくり)のご紹介です。
Eさんは、通信部の受講生です。初級から上級コースまでレッスン動画を見てひとりで自宅で制作されました。どの作品もとても丁寧に染められていて、Eさんらしい感性も感じられ、草木染や手で作ることが好きなんだなと強く思いました。
またスクーリング制度を利用して、数回アカデミーにも来られ、通学部の皆さんと一緒に授業を受け、交流も深められました。
10月、糸(綿・麻・絹)と原毛の染め
1月、上級スキル認定課題の講評会
今回の修了制作は、ご自宅で一人で制作されたものです。
最初に月桂樹で鉄媒染をして地色を染めています。
次に着抜技法で星の形を錫着抜とチタン着抜をして、色を変えています。。星の形は大小4種類、型紙をカットして作ったそうです。星の向きが同じ方向にならないよう気を付けたそうで、布の片方の角からの1枚と中心からの1枚、順に流れるようにきれいに並んでいますね。
その後、ログウッドでぼかし染めをして、星の流れがくっきりと表現出来ました。とても時間をかけて丁寧に作業をされた美しい作品です。
次はHさんの作品です。織の学校にも通っておられるHさんは、起毛した面に細長い板と小さな四角の板を使って板締め技法で、栗のミョウバン媒染と鉄媒染で重なり合った模様を染めています。
あいた空間を草木染の原毛でフェルトをし、糸で刺繍をしています。板締めの模様に加えて、お花あるいは花火のような優しい色の模様をいれたことで、奥行きが感じられ可愛らしい感じになりました。
もう一つの面は、小鳥と木の抽象的な模様を着抜技法で表現しています。
茜で染めたきれいな赤に藍やビワの色の原毛を混ぜあわせて、ちょっと複雑な色のドットがフェルトして散りばめられ、楽しいテキスタイルになりました。
起毛した面とヘリンボーンの織り目がくっきりと見える、布地の両面を生かした布使いが面白い効果を生んでいますね。
次のHさんは、制作の最初からはっきりとしたデザイン画を作ってこられました。
「WOOL STITCH」というウール刺繍の本を参考に、こちらが指定したバッグの形とサイズに合わせて模様を考えてこられました。
栗の染液で鉄媒染をして地色を染め、お花の中心部分をチタン着抜しています。その後は、草木染した毛糸を使って刺繍をしていきます。
毛糸の糸の太さによって表情が変わってくるので、細く表現したい葉や枝の部分とふっくらと表現したいお花の部分をどれくらいの糸の太さにするか、試し刺しを別の布でしてから決めました。
糸の太さを変えて、また様々なステッチの方法でとてもきれいな刺繍が出来ています。麻の生地なのに起毛面に刺しゅうを施したことで、柔らかなスウェード素材のような感じになり、シンプルだけど手の込んだおしゃれなバッグになりそうです。
次はHさん。アパレル関連のお仕事をされている方なので、生地の使い方を事前にしっかりと計算され制作を始めました。また仕立てに出す指図書も細かく丁寧に書き込まれています。プロの仕事ぶりが伺えて、さすがだと思います!
藍染で濃淡をつけて染めた後、布の端をほどきフリンジを作りました。ログウッドでぼかし染めした綿糸を使ってステッチで布をつなぎました。フリンジで切り替えをしているのがおしゃれなアクセントになっています。
つないだ布に、藍染した原毛を使って可愛くフェルティング。
裏面は、ローマ字を型紙を切って白く文字が抜けるように藍抜染をし、原毛で流れるようなフェルティングをしています。
しっかりと布の使い方を計画し、バッグ制作の指図書を細部まで丁寧に書いているので、思いどうりのトートバッグに仕上がりそうですね。
以上「草木染で修了制作の作品づくり」①~③で3期生12名の修了制作の紹介を致しました。
4月1日~7日桜の頃、ののはな草木染アカデミーで開催する「教室展」にて、出来上がったトートバッグと山型バッグをお披露目いたします。
アカデミーがある京都府南部の井手町は桜並木がとてもきれいで、町の「さくら祭り」も開催されます。これまで紹介したテキスタイルがどんなバッグに仕上がっているのか、お花見を兼ねて「教室展」にお越し頂きご覧くださいませ。
これらの作品以外にも多くの作品が展示販売されます。
草木染を愛する皆様のお越しを、心からお待ちいたしております。
●3期生(2017年度)が1年で学んだことの集大成「修了制作」の紹介です。
草木染が初めてだった受講生も多い中、こんな作品ができるようになりました
草木染で修了制作の作品づくり その1
草木染で修了制作の作品づくり その2
草木染で修了制作の作品づくり その3 (この記事)
●草木染教室作品展(京都・井手町 2018年4月1日(日)~7日(土))
「草木染教室作品展」では草木染インストラクター養成講座受講生の修了制作をはじめ、草木染教室で一年間さまざまな植物を使って染めた作品を展示・販売します。
詳細はこちら↓
●草木染インストラクター養成講座のホームページはこちら
ののはな草木染アカデミー代表 松本つぎ代