昨年5月から始まった「ののはな草木染アカデミーインストラクター養成講座」も、いよいよ1月から修了制作に入りました。修了制作の課題は、「バッグのためのテキスタイルを作る」で、バッグの形は、長方形トートバッグ(巾50cm×高さ38cm×マチ10cm)か山型バッグ(40×30×11)のどちらかです。

各自がイメージし、描いてきた簡単なデザイン画を見ながら、技法や素材の使い方などを発表してもらいました。なかには、まだ構想が固まっていなくて、作りながら徐々に考えて行くという人もいましたが、それもありですね。

 

使用する麻生地はベルベットリネンと言って、ヘリーンボーン模様の生地の片面が起毛されていて、起毛している面が濃くなるという珍しい生地なのです。その染まり方の面白さを活かすこともデザインでは重要です。

麻生地の地色を、栗のイガやメリケンカルカヤ、藍、茜などの植物を使って染めました。絞りや板締めを施した人もいます。

 

では、生徒さん12名の出来上がったテキスタイルを3回(①~③)に分けて制作過程と共にご紹介していきます。

Fさんは、メリケンカルカヤで、板締めで両端を白く残して鮮やかな黄色に染めました。ログウッドで染めたコットンシルクの糸でブランケット刺繍を周りにほどこしています、この段階では模様の構想はしっかり固まっていなかったようですが…

2月の授業までの間に自宅でこんなにも素晴らしい刺繍とフェルティングが出来ていました。直線は茜染の毛糸で、白とピンクは原毛を使ってニードルフェルティング。毛糸で直線をフェルトしたので、すっきりした仕上がりですね。

1月に始めた刺繍の上からさらに長さの違った線をフェルトで重ねていったので、より一層厚みのあるテキスタイルとなりました。

 

次は、Sさんの作品です。Sさんは、いつも図案をきっちり書いてこられます。

今回は、木工の組み方のいろんな種類をデザイン化しています。息子さんが大学で木工を学び、これから仕事にしていくそうです。。数種類の継手をデザインした大きなトートーバッグを、応援の気持ちを込めてプレゼントするために考えてきたんですね。

継手をノミを使って削るのも、草木染で布に着抜技法で表現するのとても細やかな神経を使う仕事ですが、親子の気持ちが通ずるようで、とても良いお話しとしてお聞きしました。このバッグを持った息子さんの姿が目に浮かびます。

始めて知ったのですが、木の組み方で「蟻組」という工法があり、継手の種類の一つで先端が逆三角形になっているからだそうです。「ここにどうして蟻がいるの?」と不思議に思っていましたが、Sさんのユーモアと暗示だったのですね。

 

次のKさんの作品は、これまでにはなかったものです。

数種類の植物で、ねじりぼかし染めしたシルクの糸を活かしてタティングレースをしてきたKさん。

ご本人は、いまいちの出来と謙遜されていましたが、なかなかどうして様々な形、大きさの素晴らしいレースが出来ていて、他の生徒さんからも大いに褒められていました。

片面は、平縫い巻き上げ絞りをして栗のイガで染めてあります。

もう片面に、タティングレースを一針一針布に手で縫い付けていきます。この作業は、とても大変だったようですが、本当に丁寧に作業をされていました。

 

次は、スクーリングで来られたIさんの作品です。

いつも自宅でビデオを見ながらLesson課題をこなしているIさん。さすが、藍染をむらなくきれいに染めて持って来られました。

藍抜染技法で、白く模様を抜いていきます。

木の周りに、刺繍やフェルテイングで葉や花を咲かせます。

もう片面は、絞りで藍濃淡を染め、刺繍を入れています。

いつも親子三人で岡山から来られ、お父さんが息子さんの面倒を見ておられました。昨年5月に来られた時は、まだ6カ月の赤ちゃんだったW君が、もうしっかりと歩いていて、とても可愛かったです。

 

今回は、これでおしまいです。みんな素敵なバッグに出来上がってきますように。

次回②も続きます。お楽しみに~!

 

ののはな草木染アカデミー代表 松本つぎ代