修了制作①の続きです。
Nさんは、板締め技法で茜を使って染め、格子模様を表現しました。しっかり板が締まっていたので、真っ白に防染されています。
デザインの段階では縦じま模様の予定だったのですが、折り畳んで思いどうりの細い縦じまを表現するのが生地の厚みを考えると難しく、格子模様になりました。結果的には本人も納得のいくきれいな格子模様が出来ました。
もうひとつの面は、斜めのライン絞り染めになっていて、バッグの表裏の表情を変えてあります。
起毛していない面にワンポイント刺繍をし、バッグの下で布が切り替わります。
格子模様に施されたステッチと小さなフェルトも可愛いです! 色々な技法を使って上手にまとめられた作品です。
モノトーンのすっきりした模様に仕上げたのはMさんです。
板締め絞りの丸が、くっきり白く出ていますね。折りたたみ方や万力の締め方、染める時などとても集中されていたから、こんなにきれいな絞りが出来たのですね。
栗のベージュ色が、優しいですね。手描きの線も織の糸のように真っすぐ描けています。起毛面とヘリーンボーンの両面の生地使いが、とても効果的です。
使う時の持ちやすさを重視し、潔く多くの色を使わなかったバッグ。これも一つの方向です。
東京と兵庫を行き来してお仕事をしているSさん。お話によるとお休みの日に、草木染、畑仕事、ヨットなどとてもパワフルに動かれているようです。
カラフルな丸がフェルティングされて並んでいます。その大きさ、迫力あります!
もう片方の面には、数種類の植物で染めたシルクの糸で返し縫のステッチが。時間が足りなくて、宿泊先のホテルでも縫っていたとか。よく頑張りました。
ステッチの上に小さな丸がフェルトされて、糸が描く線にリズムが生まれました。一番先には、Kさんからプレゼントされたタティングレースの蝶が。
下方から底にかけては、茜で染めた真っ赤な色のバッグが仕立て上がります。
もう一人のSさん。
蝶の模様を型紙で彫るところから始まりました。その型紙を使ってメインの蝶を着抜技法で表現しました。
他の蝶は、毛糸でニードルフェルティングで。少しずらして二本の線で表現していること、柔らかい色の糸の組み合わせがいいですね。
メインの蝶には、立体に見えるようにフェルティングがしてあり、それぞれの蝶がバランスよく配置されています。大きな模様なのに優しい落ち着いた感じにまとまりました。
これで今回の紹介はおしまいです。次回③もお楽しみに~。
ののはな草木染アカデミー代表 松本つぎ代