インストラクター養成講座11月の授業は、2日間をかけて先月の授業で染めた原毛と糸でフェルト作品をつくります。
フェルティングの技法には原毛に石鹸水などをかけて揉んだりする方法もありますが、今回は専用の針で刺す「ニードルフェルティング」で作品をつくっていきます。
ニードルフェルティングは、原毛や糸で布に絵を描くように、自由なデザインでつくることができます。
授業では、まずベースに使う麻生地を染めるところから。
今回は栗のいがで鉄媒染し、グレーに染めました。
受講生のみなさんには、事前にどんなデザインにするかを考えてきてもらいました。
それぞれ違った面白い作品が出来ましたので、お一人ずつ紹介していきます。
まずはHさん。
桜の花をモチーフに、自分で図案を描いてこられました。
初めに茜で染めた淡いピンク色の原毛で桜の花びらを一枚ずつ作り、ある程度かたちができたら布に刺して固定していきます。
花びらの上にウメノキゴケやススキなどで染めた他の色の原毛も重ねています。
最後に糸で刺繍を入れて完成です。
桜の花をひとつ大きく配置した大胆なデザインですが、色使いや刺繍で温かみのある優しい作品に仕上がっています。
Hさんの人柄が表れているようです!
続いてはKさん。
いろんな抽象模様を組み合わせたデザインです。
原毛を刺している部分やウール糸を刺している部分、そしてぼかし染めにしたシルク糸でステッチを入れている部分など、さまざまな表情があっておもしろくなってきました。
Kさんの完成作品はこちら。
Kさんは「やっぱりこうしてみようかな」と元のデザイン案をアレンジしながら作業を進められたので、遊び心のある作品になりました。フェルティングだけでなく数種類の刺繍技法も入れてあり、素材も原毛にウール糸、ぼかし染めのシルク糸、絣染の綿糸を使っています。
額に入れると、モダンな作品に仕上がりそうです!
こちらはNさん。
宇宙がテーマのデザインです。携帯の画面に映っている宇宙の世界を、フェルティングでどのように表現されるのか楽しみです。
完成作品はこちら。
とてもポップな宇宙ですね~!
原毛の色を混ぜて惑星の立体感を表現したり、白い原毛をうっすらと重ねて天体にガスがかかったようにしたりと、フェルティング技法だけで見事に宇宙を表現しています。右上の土星?も輪っかの感じがお上手です!
続いてはMさん。
和紙のちぎり絵作品を参考にしたバラの花のデザインです。
淡い黄色のバラが引き立つように、ベースの麻生地は他の方より時間をかけて濃い色に染めていらっしゃいました。
色味の違う黄色の原毛を混ぜながら薄く刺して花びらを表現し、葉っぱは刺繍で表現しています。
こちらがMさんの完成作品です。
花びらの重なりを表現するのが難しそうでしたが、2種類の黄色の原毛と白の原毛でバラの立体感が出ていますね。透明感のあるバラの表情がきれいです!
こちらはTさん。
2羽のフクロウがモチーフのデザインです。原毛のふんわり感がフクロウの毛を表現するのにぴったりですね。
こちらが完成作品です。
フクロウのふわふわした感じがうまく表現されていて、とってもかわいい作品です!右のフクロウがどことなくTさん本人に似ているような・・・(^^)!
こちらはAさん。ペンギンの赤ちゃんです。先ほどのTさんのフクロウと同じく、ペンギンもふわふわなのでフェルティングで表現するには良さそう!
だんだんペンギンらしくなってきました。
完成作品はこちらです。
寄り添うペンギンの赤ちゃんのかわいらしさが出ていますね!
Aさん、ペンギンとかかわいい動物が好きなんだそうです。一針一針丁寧に刺していちばん最後まで作業されていて、Aさんのペンギン愛が感じられました!
こちらはOさん。
Oさんが作品のモチーフにされたのは、月下美人という夜に一晩だけ咲く花。自宅で育てている月下美人の花がちょうど咲いたんだそうです。月下美人なんて、素敵な名前の花ですよね。
おしべやめしべの表現をどうしようか悩んでいらっしゃいましたが、糸を長く垂らすようにして留められました。
とても良いアイデアだと思います!
このあとさらにまわりに刺繍も加えて、仕上げました。
複雑な形をした花なので難しかったと思いますが、Oさんらしいインパクトのある作品に仕上がりました!
最後の作品はWさん。
テーマはスイミングです。フェルティングのデザインでスイミングをテーマに選ぶなんて、なかなかない個性的なアイデア!どんな作品になるのか楽しみ~
ウメノキゴケやログウッド、茜、キバナコスモス、藍などで染めた原毛で、色とりどりの浮き輪が出来てきました。
泳いでいる人は、水着といい手足の形といいリアルです!
Wさんの完成作品はこちら。
カラフルでポップな浮き輪のモチーフと、泳いでいる人のリアルな表現がとっても面白い作品ですね~!
Wさんは普段からジムでスイミングをされていて、最近平泳ぎのコツをつかんだそうですよ。そんなWさんだからこそ表現できる作品ですね。平泳ぎしている赤い水着の人は、Wさん本人!?笑
みなさんの作品は、最後に額に入れて仕上げました。
フェルティングはアイデア次第でいろんなデザインを表現できる技法なので、本当にみなさんひとりひとり違った個性的な作品ができました。
今回は額に入れた作品を作りましたが、服やバッグなどにもフェルティング技法を用いることができます。
草木染は絞り染めなどのイメージが強いと思いますが、フェルティングや刺繍などを取り入れることでもっともっと表現の幅は広がります。今回の授業を通して受講生のみなさんも、「草木染でこんなことができるなんておもしろい!」と楽しんでいらっしゃいました。
来月の授業は、いよいよ上級コースの集大成「修了制作」です!
これまで学んできたことを活かして、みなさんいい作品を作りましょうね~!!
インストラクター養成講座 講師
松本陽菜