東大寺二月堂の「お水取り」

3月12日、東大寺二月堂のお水取りの招待券(徽章)を頂き、お松明(たいまつ)を拝観して来ました。

東大寺二月堂の「お水取り」の招待券

東大寺の南大門を通りすぎ、二月堂の真下に入場し、7時30分からのお松明を待ちました。

東大寺二月堂の「お水取り」、燈される前のたいまつ

だんだん暮れて来る夕闇に浮かび上がる二月堂は、荘厳で心が静かに高鳴ってきます。

東大寺二月堂の「お水取り」、夕暮れがせまる二月堂

東大寺二月堂の「お水取り」、暗くなってきた二月堂
変な組み合わせですが、一瞬シェークスピアの野外劇場もこんなのだったかな‥と想像してしまいました。

「修ニ会」(しゅにえ)を勤める11名の練行衆の僧侶の道明かりとして大きな籠松明に火がともされます。階段下で火をつけられた松明は、急な階段を登り、二月堂の舞台の向かって左端で一度止まります。お松明が夜空に突き上げられ、グルグル廻され火の粉が夜空に舞い散ります。

東大寺二月堂の「お水取り」、たいまつに火が燈る

それから一人で火のついたお松明を担いで右端まで行きます。この時、火の粉が沢山上がったお松明と走って移動した童子には、大きな拍手と歓声が上がっていました。こうして順に左端と右端でお松明の火がともされ「行」が中で進んでゆきます。

ほとんど知識もなしに拝観させて頂いたのですが、大きな大きな力を感じ、深い感動を持って帰ることが出来ました。

大きな感動と共に、もうひとつとても嬉しかったのは、新しい人との出会いがあったことです。
四枚頂いた招待券のうち一枚残っていたので、二月堂へのバスで乗り合わせた一人の女性の方にお声を掛けると、喜んでご一緒してくださいました。
伊勢市からこのお松明を拝観する為に、奈良の娘さんのところに来られていた同年齢位の方です。始めて出合った方ですが、すぐに打ち解けて話が弾みました。
又、招待券は持っておられなかったので、とても喜んでもらえました。
お松明を待っている間に、伊勢神宮「式遷宮」の「御木曳行事」や「お白石持行事」の事を色々お話してくださいました。

招待席に入場して始めて解ったのですが、本当に二月堂の真下でゆっくりすべてのお松明を拝観することが出来ました。真下から少し離れた一般席では、参集している人が多い為、お松明一本終る度に、次の人たちのために退場しないといけないようでした。

東大寺二月堂の「お水取り」、荘厳な行

お松明の火が消され、急な階段を再び童子一人で担いで、次々と降りてきました。
あんなに大きくて重そうな火のついたお松明を担ぎ、振り回すのだから、屈強な大きな男の人を想像していましたが、まじかで見ると割りとスリムな若い男の子がほとんどだったのは、ちょっと予想外でした。

終ってから、みなビニール袋を持ってお松明の消し炭を隅々まで捜しておられました。
私も小さなひとかけらを頂いてきました。

東大寺二月堂の「お水取り」、消し炭
きっとこれで無病息災だろうなと感謝しながら。

お松明の後、二月堂内陣(女性は外回りからでしたが)拝観にも入堂させて頂ききました。時間がなかったので少しだけ、声明を聞かせていただきました。午前3時まで内陣で「行」はずっと続けられるそうです。

お知り合いになった、伊勢市の彼女とは近鉄の奈良駅で、名残を惜しんでお別れをしました。又いつの日か、お会いできそうな気がします。

14日の「お水取り」の終了と共に、本格的に春がやってきそうです。桜前線も徐々に関西に近づいてきますね。