昨年4月から始まった、ののはな草木染アカデミー「草木染インストラクター養成講座」の授業も、12月から1月にかけて修了制作に入りました。これまで学んできた「様々な染め方や技法を2種類以上組み合わせて制作する」という決まりでバッグとなるテキスタイルを修了制作として作っていきます。

テキスタイルを考える布は起毛した麻100%のとても珍しい布で、ヘリンボーン模様で織られた面と起毛した面とが違った表情と色合い(起毛面が濃く染まる)を見せてくれます。その特徴を活かす染め方や技法を見つけたいですね。

染める植物は、びわ、茜、藍、栗、キバナコスモス、ログウッドなど。今年は何故か藍染をする人が多かったです。その他、栗や茜などを使ってデザインに合わせて地色を染め分けたり、濃淡だけではなく何色もの色を絞り染めで染めた人もいました。

それでは、受講生12名のうち早く制作を終えられた方から作品をご覧ください。この後も順にご紹介していきます。

 

岐阜から毎月車でアカデミーまで通われていたTさん。ヨガのインストラクターもされていてとてもお元気で、そのエネルギーが作品にも表れています。

絞り技法で藍染の中に茜、キバナコスモスを染めています。

お正月休みの間に、自宅でもう一つの面を様々な色で染めてこられました。イメージしていたものと違う感じに染まってしまったと言っていましたが、元の生地の白も残っていてとてもカラフルできれいです。

 

授業で染めた茜やログウッドなどの糸を使ってフェルティングをしていきます。この時のサクサクする音がリズミカルに教室に広がっていました。

 

ここにも、ここにももっと色を入れたいと様々な糸でフェルティングされました。先に染めた地色と響き合ってはじけるような元気で可愛い作品となり、ほかの受講生からも「このまま飾ってもきれい」と評価されていました。草木染=渋くて暗い色という概念を吹き飛ばしますね~!

 

 

次は、Sさん。受講生の中でただ一人の男性です。女性陣からいじられてもめげずに(笑)、今回もおしゃれな雰囲気の作品を作られました。

 

BLURとは、かすんでボヤっとしてるものという意味だそうです。音楽好きのSさんだから、イギリスのロックバンドからのイメージかもしれませんね。

ひし形にクロスした部分は板締め絞りで、ローマ字は栗で黒く染めた部分を着抜技法でかすれたように表現しています。

ひし形部分にビワやあかね、ログウッドなどの原毛を使って丁寧に線をフェルティングで描いています。文字部分は、毛糸と原毛で縁取りされました。起毛面の表情、面白いですね。

両面が違った雰囲気になっているので、バッグに仕上がった時楽しめますね。時間が余ったからと文字にもフェルトをされて淡いピンク色などこれまで親しんでこなかった色も使って、思いもかけず楽しかったのでは?! それともやはり、モノトーン系がお好きですか?

 

Iさんは、花いっぱいの野原を表現されました。お花畑の写真から型紙を写され、お花1つ1つを丁寧に型で彫って着抜しています。

 

お花畑の中のウサギさんは、白の原毛でフェルティング。お花は草木で染めた糸で刺繍をしています。Iさんが抱く可愛らしいイメージが丁寧に良く表現されています。

 

起毛面とヘリンボーン面の生地の活かし方、栗のミョウバン媒染と鉄媒染の使い分けなど細やかなところまで気配りし制作したのがよくわかりますね。Iさんの優しさがあふれた作品となりました。

 

次はYちゃんの作品です。

独特の感性と表現法を持つYちゃん。今回もあっと驚く世界観です。

人間の骨と刀。

 

そして独特な漢字の言葉と文字。難しくて読めない字がならびます。

 

 

見た時は、黒澤明監督の「用心棒」の映画の1シーンを想像しましたが、彼女にとっては、もっと深い意味が込められているのでしょう。心の中から表現されたYちゃんにしかできない深い作品だと感じました。

 

今回は4名のテキスタイルを紹介しました。バッグに仕上がって4月の「教室作品展」に展示されますので、どうぞお楽しみに~。

 

●草木染インストラクター養成講座のホームページはこちら

草木染インストラクター養成講座

●3期生(2017年度)が1年で学んだことの集大成「修了制作」の紹介です。
草木染が初めてだった受講生も多い中、こんな作品ができるようになりました

草木染で修了制作の作品づくり その1(この記事)
草木染で修了制作の作品づくり その2
草木染で修了制作の作品づくり その3

●草木染教室作品展(京都・井手町 2018年4月1日(日)~7日(土))
「草木染教室作品展」では草木染インストラクター養成講座受講生の修了制作をはじめ、草木染教室で一年間さまざまな植物を使って染めた作品を展示・販売します。

詳細はこちら↓

草木染教室作品展のご案内

ののはな草木染アカデミー代表 松本つぎ代